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Computer History Museum訪問記② 一家に一台コンピュータ、そしてインターネット時代へ

  • Soya Manabe
  • Nov 16, 2024
  • 6 min read

 お世話になってます。Soyaです。


 思ったよりもCHM紹介記事のボリュームが増えてしまったため、前編と後編に分けました。こちらは後編の記事になります。





展示紹介続き


インターフェース



 ここでは、コンピュータと人間の界面であるインターフェースデバイスの古の品々を観ることができる。


 今でも現役スタメンを張り続けるキーボード+マウスという組み合わせは60年以上コンピュータと共に使われてきた最強のインターフェースである。


 2枚目の木製のマウスはスタンフォード大学スタンフォード研究所(SRI)のダグラス・エンゲルバートが開発したもので、NLS(oN-Line System:マウス・ディスプレイ・ハイパーテキストリンクなど現代のコンピュータの基本要素となっているシステム)を紹介するために実施されたデモンストレーションは、その先進性と画期的な内容から「全てのデモの母」と呼ばれている。なぜ母なのかはわからないが。。。





 左写真は1968年にハーバード大で開発された3Dディスプレイで、おそらく世界初のヘッドマウントディスプレイだと説明がされていた。右は1988年に日本のセガが開発した3Dグラス。


 近年AppleやMetaがリリースしているようなヘッドマウントディスプレイと比較してみると面白いかもしれない。


コンピュータゲーム



 コンピュータと切っても切り離せないのがゲーム。ゲームに関連するハードウェアや文化について紹介するブースが丸々1つ用意されている。


 1枚目は世界で初めてヒットしたビデオゲーム「PONG」のプロトタイプ(1972年)、2枚目は私たち世代には懐かしいGame Boyの初代機。ゲームボーイ人気の火付け役となったTetrisの展示も。


 この辺りのストーリーはApple TVで2023年に配信された「TETRIS」という映画で触れられているらしいが、まだ筆者は観ていない。だってApple TV独占配信なんだもの。。。


 任天堂以外にもさまざまなゲームメーカーのハードが展示されているがその多くが日本のメーカーによるもの。ゲーム機覇権争いの激しさがよくわかる。


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 皆が気になるこの黄金の筐体は、Appleがバンダイ向けに開発したゲーム機「Pippin game system(1996年)」。なぜ金色なのかもよくわからないが、とにかく高すぎて売れなかったらしい。


 ゲームコーナーには実際にアーケードゲームをプレイできる展示もあり、子どもたちが大いに盛り上がっていた。


パーソナルコンピュータ



 真の意味でコンピュータが一家に一台となったのは1980年代に入ってからである。Apple-1(写真1枚目)はスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが作成した最初のパーソナルコンピュータで、1976年にホームブリュー・コンピュータ・クラブ(自作PC界隈の始祖)発表された実物である。筐体上部にはウォズニアックのサインが書かれており、まさにCHMの目玉展示の一つと言えるだろう。


 このほかにもホームブリュー・コンピュータ・クラブで紹介されたいくつものパソコンが展示されており、その数は圧巻である。


 その後アップルとIBMで繰り広げられたパソコン覇権争い(2枚目)や、Windows95をはじめとした、パソコンとは切っても切り離せないソフトウェア達の躍進(3枚目)を学ぶことができる。


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 この写真をパッと見ただけでは、目新しさもなく、何が凄いのか分かりづらい。こちらはアラン・ケイによって作成されたDynabook(ToshibaのDynabookとは別物なので注意)のモックアップである。


 何がすごいって、これは1968年に作成されたものであり、それはすなわち現在のようなグラフィックインターフェースもなく、コンピューターが研究室やビジネス現場にやっと1台レベルで導入され始めた時期に現代主流のノートPCの先駆けと言えるアイデアを構想したのだ。


 つまり今の時代にこれを見ても古臭さを感じないデザインであることがすごいポイントなのだ。キッチンコンピューターというクレイジーアイテムが同時期に売られていたと考えると尚更。


 DynabookはジョブズのLisa、Machintoshといったパソコン開発に影響を与えたと言われている。アラン・ケイはこうしたパーソナルコンピューターという概念の提唱だけでなく、オブジェクト指向プログラミングやユーザーインターフェースの設計に関わる功績でも知られた人物である。



 Palmpilotは初めて世界的に成功した手のひらサイズのコンピュータである。ある意味スマートフォンの先駆けかもしれない。写真は製品化前のプロトタイプ段階の開発ボードである。


 また、Palmpilot発売の同時期には日本の企業も含む各社がポケットサイズのコンピュータの開発を進めていた。


インターネット時代〜まさかのドットコムバブルというオチ


 90年代以降のパソコン普及の鍵である、web関連技術の歴史を紹介するコーナー。古のAOLから始まり、現代覇権を握っているGoogleに関連する展示物は見ていて面白いし、少し懐かしく感じられる展示もあった。



 1枚目はGoogleで最初に作られた自作のネットワークサーバー、2枚目はGoogleの新入社員がもらえるNoogler(New googler)の帽子。

 

 AOLといえば、最近"You've got mail"の着信音で知られるナレーターのElwood Edwardsさんが亡くなられてしまった。この着信音はトム・ハンクス主演の映画タイトルになっているくらいお馴染みのフレーズである。



そして最後の展示はドットコム・バブルに関連したアイテムである。


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 アメリカには様々なご当地モノポリーが存在しているが、こちらはMonopoly .com editionである。


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ドットコム・バブル当時の様々なIT企業の名前がマス目に採用されている。


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 最後に紹介するのはPets.comのキャラクターの人形。Pets.comはスーパーボウルのcmなど、過大な広告を通して全米中に認知されたものの、ビジネスプランが完全にオワっており、全く黒字化できずに2年で閉鎖。


 ドットコム・バブルの愚行を示す象徴となってしまった悲しきモンスターである。



まとめ


 本記事ではメイン展示であるREVOLUTIONを紹介した。お分かりの通り、ざっくり2000年代くらいまでの展示となっているが、そこから現在に至るまでもコンピュータは多くの進化を遂げている(スマートフォン・人工知能など)。今後新たなブースが設立されて歴史が刻まれていくのが楽しみである。


 また、どんな世代の人でも「あ、これ懐かしいな」と感じれるような展示があるため、一見堅物な博物館に見えるかもしれないが幅広い年代そして性別を問わず楽しめる場所となっている。それだけコンピュータが人々の生活に溶け込んでいるということですな。


 今回紹介しきれなかったが、メイン展示であるREVOLUTIONの他にも、Softwareに特化したSoftware Labやインタラクティブにテクノロジーを学ぶことができるThe Learning Lab、IBMのパンチカード処理機やDEC PDP-1というミニコンピューターを実際に稼働させた様子を観ることができるDemo Labなど本当にたくさんの展示がある。


 シリコンバレーに訪れた際には、ぜひ観光先の候補として検討してみていただきたい(技術畑の人はマストで)。


おまけ

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 Waymo無人運転車のプロトタイプ。今ではサンフランシスコ市街地を多くの無人タクシーが走っている。


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 外にはIEEE(米国電気電子学会)のマイルストーンがこれでもかと陳列されている。

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